映像制作ディレクションの流れと現場の仕事【企画から納品まで】

現場での映像ディレクション経験をもとに、映像制作にあたっての企画・撮影準備と、撮影本番のポイント、編集から納品までの流れを解説します。
映像制作 全体の流れ
動画制作の大まかな流れは、「企画、撮影準備、撮影、編集、納品」となります。

- ヒアリング
- 企画
- 絵コンテ
- スタッフィング
- ロケハン
- キャスティング
- 香盤表
- 本番撮影
- 編集
- 納品
映像制作の流れ1【ヒアリング】
ヒアリングの目的は、クライアントの抱える課題を整理し、課題解決に最適な企画提案に繋げること。
まずはヒアリングシートを使ってプロジェクトの要件を整理しましょう。

- 基本情報
- 商品・サービスについて
- ご依頼の背景
- 動画の用途・目的・尺
- 予算・希望納期
- ターゲット
- 参考にしたい動画
ヒアリングで重要なことは、動画を作る目的を整理すること。目的が明確になることで、目的を達成するためにはどのようなターゲットに訴求すれば良いのか、ダーゲットに訴求しやすい掲載・配信場所はどこか?が決まってくるためです。
- 動画を作る目的
- 動画を視聴するターゲット
- 動画の掲載場所
- 納期
映像制作の流れ2【企画】
ヒアリングの内容をもとに、クライアントの課題解決のためにどのような動画を制作するのかを検討し、企画書を作成します。
- 目的
- ターゲット
- 動画の用途・種類・長さ・費用
- メッセージ・コピー
- 参考動画
- シナリオ
- モデル・スタッフ編成
- スケジュール

雨天時の予備日を抑える
屋外ロケーションの場合、雨天時の予備日の忘れずに押さえておきましょう。撮影3日前にはプロデューサーが決行・延期の判断をします。
縦で撮るか?横で撮るか?
SNSで発信することが目的であれば、縦動画(横9:縦16)も検討してみましょう。
- SNSに投稿したい場合
- 人物が中心になる場合
- 横型モニターで配信する場合
- 風景を撮影したい場合
- スポーツやアクションなど動きの多い撮影

モデルブッキングのタイミングは?
企画段階ではまだモデルのブッキングは不要です。企画提案の場面で、モデルのコンポジを見せながら先方の希望も探っていきます。
モデルの顔や体型がわかる写真や、名前、身長、スリーサイズ、靴のサイズ、これまでに撮影した作品をまとめた資料。


参考動画の探し方
参考動画は動画投稿サービスやSNSなどで探します。見つけた動画はPintarestなどでストックしておくと便利です。
- Youtube
- Vimeo
- SNS(Instagram、Twitter)
- Pintarest
- Adobe Stock
- Google検索「プロモーションビデオ 実績」「動画制作 実績」など
映像制作の流れ3【絵コンテ】
動画のカット割りや構図などを絵と文字で表現する指示書。スタッフやキャストの間でイメージを共有するために使われます。
企画の方向性が固まったら絵コンテを作成します。絵コンテはイラストに限らず、イメージしている構図に近い写真を活用しても良いでしょう。

- カット番号
- 絵
- 内容
- ナレーション・セリフ
- 時間
- 寄り・引きを交えて飽きさせないようにする
- 奥行きのある構図になっているか
- 人がメインの構図ばかりが続いていないか
映像制作の流れ4【スタッフィング】
プロデューサーが撮影に関わるスタッフを選定します。
- プロデューサー:企画
- ディレクター:演出指示
- アシスタントディレクター:演出助手
- ビデオグラファー:撮影
特に映像の仕上がりを左右するのがビデオグラファーの選定。ビデオグラファーの得意な表現やこれまでの経験から、企画に最適な人物をアサインします。

映像制作の流れ5【ロケハン】
ロケーション・ハンティングの略で、撮影の前に実際に撮影を行う候補地を下見すること。
- 絵コンテを参考にカメラ位置を探る
- 窓の位置と自然光の入り方を確認
- ロケ地の管理者の確認
- 控え室の有無
- 電源の有無

ドローン撮影の注意点
- 国土交通省へのドローン飛行許可オンライン申請
- 撮影当日の天候・風速
ロケ地の撮影許可を得る
- 企画概要
- 撮影内容
- 掲載媒体
- 当日人員
- 車台数(車種)
肖像権・著作権に配慮する
- 企業のロゴや一般客の顔がはっきり映り込まないように撮影
- 一般客が映り込む場合は撮影の許諾を得る
- 施設の場合、一般客の入場が何時からでオープン前に撮影ができるか確認

映像制作の流れ6【キャスティング】
次にモデルのキャスティングを行います。事務所に所属しているモデルは事務所を通して、無所属の場合は本人と直接やりとりをします。
- 契約前に肖像権、著作権を明確にする
- コンポジが最新でない場合もあるのでモデルのSNSをチェック
- 複数出演の場合は身長のバランスも確認
- モデルの性格や得意、不得意を知ってシチュエーションに合わせたキャスティングを
- 早朝・夜間撮影の場合モデルの移動方法も含めて検討
- 当日は目立つネイルやメイクを避けてもらう
映像制作の流れ7【香盤表】
撮影当日は香盤表をもとに、撮影を進めていきます。間違いのないように、しっかりチェックしておきましょう。
当日のタイムスケジュールや撮影スタッフやモデルの動き、小道具などをまとめた資料。
- タイムスケジュール
- 撮影する順番
- カット内容
- 撮影場所
- モデル
- 使用する小道具
- スタッフ
- ロケ地を移動する際は機材搬入・セッティングの時間を設ける
- 交通状況を踏まえて移動時間には余裕を持たせる
- スタッフの誰が車を出してどのように移動するかを決めてく
- ロケ地の駐車場を確認しておく
映像制作の流れ8【PPM資料】
撮影前に行う全体ミーティングにおいて使用する、企画から撮影までの内容をまとめた資料がPPM(プリプロダクション)資料になります。
プリプロダクションは広告主(クライアント)・代理店・制作会社が撮影前に行う最終確認のためのミーディング。確認事項は企画・演出・ロケ地・スタッフ・キャスト・衣装・小道具・スケジュールなど多岐にわたります。
- 企画
- 演出
- 絵コンテ
- ロケ地
- スタッフ
- キャスト
- 衣装
- 小道具
- スケジュール
撮影前の最終チェック
- 全スタッフ・キャストに最新のPPM資料を共有している
- 当日朝の動きを全スタッフ・キャストが把握している
- 緊急連絡先を全体に共有している
- PPM資料を人数分印刷しておく
映像制作の流れ9【撮影当日】
撮影当日のスタッフの役割の一例をご紹介します。
当日はスタッフだけでなく、クライアントやモデルが集まるため、撮影だけに集中できない場面があります。
各スタッフが自分の役割に集中できるように、役割を分担しましょう。

- プロデューサー:全体の演出の確認とクライアントチェック(絵コンテ)
- ディレクター:モデルとカメラマンへの演出指示(絵コンテ)
- アシスタントディレクター:タイムキーパー、一般客の誘導、モデルのケア(香盤表)

撮影当日のディレクターの動きは?
当日のディレクター・アシスタントディレクターの動きを詳しくご紹介します。
- スタッフキャストの飲み物や軽食を購入しておく
- 資料配布
- 撮影スケジュールの共有

- ロケ地担当者へ挨拶
- カメラマンへ撮影分数共有
- カメラマンへシーン内容の確認と構図指示
- モデルへの演出指示
- 撮影の残り時間をお知らせ(タイムキーパー)
- 撮影カットの漏れチェック
- モデルケア
撮影後の仕事は?
- 関係者へのお礼と今後のスケジュールについてメール
- スタッフ・キャストへ請求書の作成依頼
映像制作の流れ10【編集】
- 荒編集
- 本編集(カラグレ調整)
- テロップ・音入れ
映像に色彩補正を加えることで、作品の世界観や雰囲気を演出する工程。
荒編集の段階でクライアントチェックをします。ロケ地やモデルへの確認も行います。
映像制作の流れ11【納品】
納品方法としては以下のような方法が挙げられます。クライアントの希望に合わせて納品しましょう。
- 動画データ
- DVDに焼く
- Youtubeなどにアップロード